自動車のこと:何が欲しいのかから考える

理解していないものを選択するのは、難しい。
普段は勝手知ったる世界に閉じこもっているだけに、余計に難しい。

今回しようとしている選択は、10人中8人は「バカじゃないの?」と言うであろう、「7年落ちのイタリア車」。10人にバカと言われても、説得できたり、自信さえあれば気にしないタチなんだけど、それもない。今のところ、残り2割くらいで勝ち越せない。そのため、僕にしてはいつになくナーバスな今日このごろです。

以下が選定の過程と結果。僕以外には意味のないリストだけれども。

RENAULT MEGANE II or PEUGEOT 307

P7112649
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Megane 225
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307 no Autodromo
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当初、プジョー307かルノーメガーヌ2を考えていた。306やルノーメガーヌの先代は僕がWRCを見ていた頃に好きだった車種だし、プジョーの内装は素敵で外観デザインが控えめで好感できた(フェイスリフト前だけど)。その後307とメガーヌが選外になったのは、206オーナーだった友人(ヌル夫君)の話を聞いて、「あれ、307ってちょっと大きめかしら?」と思ったから。実はあまり大きさというのは考えてなかった。下崎もレガシィ→インプレッサだったから、軽より大きくて3ナンバーの下というのがあるってこと自体考えてなかった。

RENAULT Lutecia 3 (Clio III)

ヌル夫君から「ルノーのルーテシアは?」と言われて、ルーテシア3いいかも・・・と思い出した時期が僕にもありました。ルーテシア3は3ナンバーだがほとんど5ナンバーサイズ。何よりも現行モデル(’06~)のエクステリアはかなりの美人。個性はないがバランスよく完成されていて、おつきあいしたい!と思わせる感じ。正直かなり傾いていて、いくつか中古車を見に行ったり、近所のルーテシアをじっとりと眺めに行ったり、正規ディーラーに行ったりもしたのだけど、メンテナンス性を調べていくといろいろと不安定要素が気になるようになってしまった。Haynesマニュアルが出ていない。消耗品なのにディーラーに欠品が多い。日本では売れていないこともあって、まだ初期不良ができっていない印象が拭いきれなかった。もう一つ感じたのは、フランス車の閉鎖性。308ccでこそようやくアイシン工業製6ATが載ったが、プジョーにしてもルノーにしても、トラブルメーカーであるAL4を使い続ける意味がわからない。いや分かるけど、こちらとしてはやめていただきたい。でもしばらくの間本気でルーテシア3を考えていた。

フィアット プントmk2 後期型

まだルーテシアにしようかと思っていた頃、高知のガク君から「現行プントはどう?」というコメントをもらった。そのときは「イタリア車とつきあえる自信がない~」などと言っていたのだが、一応調べてみた。(実は「現行プント」というものは存在せず、現在は少し大きくなった「グランデプント」がプントラインの現行ということになる模様。ここで言っているのはプントmk2後期型のこと)
確かにバックは個性的だけど、フロントが少し気に入らない。(でもさっきこれを見つけて、このカスタムはアリかも・・と思ってしまった。もはや日本車にしか見えないが。)

プントmk2前期型

ルーテシアが第一候補だが決め手を欠くまま悶々としていたところ、仕事合宿の合間に府中の「南方郵便機」にコーヒー豆を買いに行った。そのとき車を停めたコインパークに、プントmk2(ディミターグリーン)が駐車していたのだった。ぱっと見て、あ、これプントだ、と思った瞬間に目を奪われてしまった。うーん、すごくいい!直線主体のデザインだが、フロントからサイドを通って後方へ流れるラインは子鹿の尻のようにほんの少し跳ね上がっている。このデザインは90年代を凝縮しながら、来るべき21世紀をBセグメント・スーパーミニというコンパクトなエリアで内包しているんだ。そして今となっては羨ましいことに、その21世紀という未来は躍動感に溢れ、可能性に満ちている。これが2000年に、フィアット100周年を記念して登場したという事実に感じ入ってしまった。燃費もよく、高速主体なら18km/Lや、人によっては22km/Lを記録するという。ミッションは富士重工(スバル)製CVT。ミレニアムモデルとしてこれ以上のものが望めるのだろうか?
というわけで、第一候補がプントに決まった。

プントを細かく見ていく
プントのmk2前期型は2000年から2004年の途中まで生産されている。色は13色で日本でのグレード展開はELX、HLX、HGT ABARTHの三種類。ELXとHLXは5ドアで1.2LのCVT、HGT ABARTHは3ドア、1.8Lの5MTのみ。mk1は巨匠ジウジアーロデザインでカーオブザイヤーにも輝いたがこのmk2は逃している。しかしながら欧州では大変よく売れたようだ。
そもそも祖母や叔母のための足車なので、3ドアは選択することができない。3ドアのたたずまいの美しさは特筆すべきものだと思うが、そこは前提が崩れてしまうので譲れない。

Punto HGT Abarth

ELXとHLXの違いはほとんどない。HLXはサイドミラーがボディ同色かつ電動になって、アルミホイールやサイドエアバッグ標準装備、とかそんな違いしかない。しかもその電動になったサイドミラーというのは角度を調整できるだけであって、畳むのは手動なのだ。誇らしげに装備されたパワーウィンドウはなんと前席分だけで、後ろの窓は手動!3ドアとの部品共通化によるコストダウンだろうけど、不得手な電装系を無理にやろうとしない姿勢と思うことにしたい。CVTも前述の通り富士重工製で、CVT特有の癖はあるがおおむね評価は高い模様。
最も懸念されるのは高確率で起こるとされるパワステの不具合。パワステモーターに強い負荷がかかるとアシストが切れる仕様なのだが、据え切りの多用やダウンサスにより通常使用で起こってしまうこともある、という話。一度起こると再起動や放置で復活するのだが、そのうち完全に切れるようになってしまうこともあるとのこと。(モーター交換でだいたい治るが再発のおそれあり。海外のフォーラムでは今になって対策法がいくつか出始めている。)
次に右ハンドル化によるアクセル/ブレーキの隙間の狭さ。足の大きい人に注意なしで運転させるとたいていアクセルとブレーキを同時に踏んでしまうほどオフセットがないらしい。バック時などにそれを起こし、焦ってさらにブレーキを踏もうとしてアクセルを踏み込み、CVTが高回転になったところでさらに焦ってギアをNにしたりするとミッションが死んでしまうことがある、という話も。僕が乗る分には最初の車なのでクセもなにもないので合わせるだけなのだけど、他人に任せるときは注意が必要みたい。(後に実際に試乗してみると、二つのペダルの高さがほとんど同じであることも原因の一つのようだ。高さを変える人もいるらしいが、乗ってから考えればいい)

こう書くと「やっぱりイタリア車は危ない!」って話になりそうだけど、ネットではちょっと調べればホンダだろうがトヨタだろうがこういう話はどの車種にもごろごろ転がっているので、対策があるのかないのか、予防法はあるのか、それにはいくらかかるのか、ということが重要なんだと思う。日本でも先達の皆さんがいろいろと情報を公開してくれているし、大いに台数が出た欧州ではさらに無数のケースが検索できる(言語の問題で主にUKだけど)。
ルーテシア3が怖かったのは出たばかりで不具合が発生しても対策すら分からない可能性があるという現状で、本来ルノーはリコールを多発してくれる(=対策を練って発表し無償修理してくれる)良いメーカーだと思う。だけどルーテシア3に安心して乗れるのはもう少し後ではないかという印象はあった。

“自動車のこと:何が欲しいのかから考える” への7件の返信

  1. 自分は10人中2人の方にカウントされるとw
    ごめんなさい。
    でも正直勉強になりますわ。
    洒落が通用しそうにない業界なんだなと。
    まぁ自分なら見た目は三の次くらいで済むからまだ気楽といえばそうだけど、、。

  2. 7年落ちくらいならどってことないだろう。10万マイルまでなら直せば走る。
    そもそも日本人の自動車の乗り換え方が異常なんだ。プリウスに乗り換えてもなんもエコなことなんてない。

    そういやこないだ家の前を歩いていたらダットサンが元気に走っていました。
    がんばれダットサン。でも高速には乗らないで。

  3. これで2人か。もういないな。
    ママチャリじゃなくてロード乗るという選択と同じことだと思うんだけどね。

    ただ10万マイル走れるってのはアメリカや欧州の環境での話で、Stop&Goを繰り返す日本の市街地の環境は車にはやはりよくない環境のようだ。取り寄せたHaynesマニュアルにも消耗品の消耗が早まると書いてあった。でもちゃんとメンテすれば10万キロくらい軽く越えると思うけどね。
    購入することにした車の走行はまだ4万km弱なので状態はすこぶる良い(ように見えた)

  4. いい車の選択したね!年式もふくめて、思い入れのないモノにかかる費用はたとえそれが消耗品の部品交換でも高く感じるもの。でもその逆ならなんど壊れても直して乗る気持ちになるはず。いつかプントで遊びに来てね!

  5. ありがとう!
    金がかかっても笑顔でいられるのがいい買い物、ということだよね。
    ぜひ遊びに行きたいけれど…往復2000kmか…。
    床ズレできないかしら。
    でもETC休日割引使えばかなり早く+安く行けるだろうねえ。