自動車のこと;実物を見て考える

プントを見に行く
実際に見てみないと始まらないのだけど、高年式の出物はなかなかない。西日本では結構出ているのだが遠くで買う気は無かったので年式のことはほっておくことにして、近場の店に見積もり依頼と試乗にでかけてみた。なんかほんと長い上ただの個人的備忘録なんで、スルーして。

シート
プントについての記事を見ると、シートが疲れにくいと褒められていることが多い。しかし実際に座ってみても特にこれといった特徴は感じられなかった。もちろん僕自身の経験が浅いので比較対象が無いに等しいのだけど、絶対的な何かがあるわけではなかった。普段座っている椅子が分不相応なので、尻グルメの症状が進行して味覚障害になっている可能性はある。でもルーテシアに座った(当時まだ免許取得前だったので試乗はしてない)ときはふんわり包まれるようでけっこう気持ちよかったので、実はちょっぴり期待していた。少し残念。長距離乗車ではまた感想は変わるかもしれないし、ランバーサポートを使うのを忘れたので後から嬉しい誤算があるかも。

後方視界が悪い
試乗してみてまず思ったのは、斜め後方がとても見にくい!デザインのせいか衝突安全性能のせいか知らないが、Cピラーが太すぎて駐車のときは苦労しそうだ。サイドミラーの死角とは重ならないので安全上問題ないと言うことはできるだろうが、高速での合流は怖そうだと思った。そもそも「どこが見えてないのか」をまだ体がしっかり覚えてないので、後ろを見たときに見えないところが多いと不安になってしまうのだ。頭ではわかってるんだけど・・・。

ペダルレイアウトの問題
先述のペダルレイアウトは初心者だからかあまり気にならなかったが、隙間が小さいのに加えて段差がないので一緒に踏んでしまうことはあるかもしれないと思った。靴をドライビングシューズにするなどして工夫するか、加工をするか、左足ブレーキを練習するか。

ステアリング
プントの回転半径は5.6mとトヨタのイスト並だが、そのへんを走っている分にはまったく気にならない。問題は駐車時だが、これは慣れかな、切り返せばいいだけの話だし。パワステ不具合を誘発するという噂のCITYモードも試したが、確かにステアリングはすごく軽くなる。でも常時いるかというとそんなことはない。

エンジンその他
良さも悪さも、ぜんぜんわからない!
レンタカーのVitzやラクティスよりはよく走るような気がするが、それすら自信がない。シーケンシャルモードを使ったときのエンジンブレーキはCVTにしてはちゃんと効いたように感じたけど、うーん。10分かそこらの試乗じゃ僕にはまだわからないようだ。同乗してくれたお店のおっちゃんは整備士のようでプントのいいところも悪いところもいろいろ教えてくれたのだが、走りについては言ってることに賛同も否定もできなかった。それくらい、全然わからなかったのだ。試乗すれば購入決断ができるかと思っていたのだが、よけいに悩ましくなっただけだった。

中古車店なるもの
それにしても中古車店というのは変なところだ。客が同じ大量生産品を複数の店で比較して買うというのは、他の商品ではあまりない。同じ商品に対して違う視点の宣伝文句を聞くというのは目新しい。
日本車のついでに扱っている店も行ったが、それよりも輸入車の中古を専門に扱っている店が興味深かった。

ステイタスのある店
どういうわけか一般的に輸入車には「ステイタス」があると言われているが、最初に行った店ではその「ステイタス」を店づくりから意識していて、顧客のささやかな満足感を満たすためにとても気を遣っている感じだった。地元ではパトカーやタクシーになったりおばちゃんが乗り回したりしている大衆車の、しかも中古車にまで「ステイタス」がついて回るとは思わなかったが、中古車が入荷してまずするのはエンブレムとシフトレバーのめっき剥げの交換、ヘッドライトのレンズ磨きだというのだから恐れ入る。確かに年式のわりにあちこちぴかぴかだった。(もちろん整備項目もしっかりしてたけど)

ステイタスのない店
そうかと思うと次に行った店では車は車といわんばかりの扱いで、色あせたエンブレムもそのまま。照明のきいた明るい店内で車が展示されていることもなく、幹線道路沿いに青空展示されている。輸入車を扱うのは小さい店でも車種のレアさで客足が向くためのようだ。この店で見ると、プントはふつうの車にしか見えない。隣に置いてあったオペルメリーバやプジョー1007も買い物車以上のものには見えなかった。前の店では外装内装の話をよくされたのだが、こちらでは話を聞いても整備や技術面の話しか出てこない。意図的に交換部品や弱い部品などについて同じ質問を各店舗でしてみたのだが、故障事例を細かく教えてくれたのはこちらの店だった。

エンジンルームの汚れ
どちらの店でもエンジンルームを見せてもらった。最初の店のプントは外だけでなくエンジンルームもとてもきれいだった。「ちゃんとみてくれるんだな」と安心したのだが、後者の店ではかなり汚れが目立った。気になったので「見積もり金額が変わってもいいのでエンジンルームを洗浄してもらえないだろうか」と頼むと、こう言われた。「エンジンルームは本来洗浄してはいけない。汚れているからといってエンジンの調子が変わることはなく、却ってオイル漏れや水漏れのサインを見逃して整備上問題になるケースがあるし、電装品への悪影響も懸念される。簡単に拭くくらいならするけど」

参考)
洗ってよい
洗ってはいけない

どっちかから選ぶことにした
物件に大きな差があればこういう話にはならないのだが、たまたまこのとき二店の物件はどちらも年式もグレードも値段もほぼ同じだった。
前者は気になりそうなところを全部交換したり対処したりしてくれているし、将来的な交換部品ごとの費用までしっかりリストにして出してくれていて、顧客の不安をきっちりと潰しているという印象を受けた。顧客と車の写真アルバムまであって、顧客にも愛されていそうなのがわかる。愛車に名前を付けるような人たちにはこちらの店がいいだろう。僕にもモノ偏愛傾向があるから、この店の良さは分かる。納車後ふらっと遊びに寄って在庫車を眺めるようなつきあい方もできるだろう。
後者には仮に「エンブレムを交換したい」と言っても「なぜ?」と変な目で見られそうな雰囲気さえある。建物もお世辞にもきれいとは言えない。こちらから訊かなければたいしたセールストークも出てこないのだが、訊けば論拠つきで答えが返ってくる。整備以外の目的でこの店に遊びに来ることはないだろう。そんなスペースもないし・・・
どちらの店を選ぶかは人によるし、状況による。僕もディーラー保険継承つきの物件なら前者を選んだかもしれない。

とまあそんなわけで、僕はエンブレムが色あせたフィアットを買うことになったのだった。