雲海の向こうに広がる大パノラマ;高峰温泉に行ってきたよ。その5

前回までのあらすじ;当初は危ぶまれた天気も好転し、日没の露天風呂、星空鑑賞会、夜間の星空撮影、朝方の雲海と、ここまで存分に高地の温泉宿を楽しんできた我々だが、さらに欲張って朝食後の2時間トレッキングにでかけることにした。しかし周りを見回しても湿地と言えるような平地は見あたらない。そして脚に爆弾を抱えたキムチはどうなってしまうのか?

目的地は、「池の平湿原」。ガイドをしてくれるスタッフさんの運転するバンに乗せてもらい、高峰温泉まで通ってきたダートをさらに奥に進む。結構なオフロードだが、夏場は鳩バスなどの大型バスも通るというから驚きだ。
…って、ちょっと!大揺れに揺れるバンの中から窓の外を見ると、なんだか凄いものが見えたような気がするぞ!

15分ほどで湿原の淵にあるという駐車場に着き、降りた瞬間に息を呑んだ。樹氷ではない。霧氷と言うのだとガイドの三井さんが教えてくれた。ム…ム(略
…と叫びたくなるくらい美しい。
昨日は天候が悪いから展望は諦めて風呂だけ入れればいいやと思って来たのに、こんなものが見られるとは。ガイドさんも心なしか興奮気味で、「こういう日があるから、何度も来たくなってしまう」と仰っていた。

日本だと快晴でも空が霞んで、こういうソリッドな青空というのは冬でも滅多にお目にかかれない。風土だからしょうがないし、それが日本の味というものだけど、それだけにこの突き刺すような青には興奮を禁じ得ない。レンズの向こうの被写体が、バキバキ!ギチギチ!と音を立てて輪郭を主張する。ドキドキする。

池の平湿原は湿原とはいえ、水はほとんどない。火山の火口にできた水たまりで、元は湿原であったか湖があったが、六百年くらい前に鉢が割れて水が流れ落ちてしまったそうだ。だから湿原には池があるがとても小さい。見られる植物も湿原というより高原の花のようだ。といっても、冬なので花はないけれど、それでも一つ一つの植物の名前と説明を聞いていくとかなり楽しい。これはたしかワタスゲと言って、綿のような花をつけるらしい。あとで綿がもうすこし残っている写真も出てくる。

霧氷の付き方からも推測できるが、ここは斜面の向きによって環境がかなり変わる。駐車場から最初の目標地点である「雲上の丘」に向かう道はカラマツが多いようで、既に葉が全て落ちてしまっている。カラマツは根がそれほど強くないようで、あちこちで倒木をみかけるが、倒れても残った根がライフラインを繋ぎ、枝を独立した幹のように空に向かって突き立てているたくましい姿をそこここで目にすることができた。この写真はそういった倒木の枝。

下を見ると、こんな風になっている。

ここでレンズチェンジ。眺望が開けてきたので広角をつけた。

これもワタスゲ。…って聞いたよ。植物には疎いのでわからない。なんかネットで検索するワタスゲとは違うように見えるんだけど、8月頃になるとこんな風になっているという記事も。そしたら11月にはこの写真みたいになるのかな。

そして、ついにさっき車窓から見えた「スゴイもの」の正体が明らかになった。これだよ!これを見にはるばるやって来た…わけじゃないけど、これを見るために来た気がする!なんとなく。真ん中に富士山が見えるのがわかるかな。
普通に写真をクリックしただけだと thickbox プラグインがブラウザウィンドウの幅と高さに合うようにリサイズしてしまうので、拡大できないときは小さい写真を右クリック→新しいタブで開く をするとアップした原寸で見られる。

右手に見えるのは八ヶ岳連峰。富士山の左に広がる山脈は秩父連山ということだった。
ということは、奥多摩の山々はその右下あたりに蹲っているということだろう。

遠いのか近いのか、距離感がおかしくなりそう。

次回はたぶん最終回!
雲上の丘からの360度の展望、いったいどこまで見えたのか?を検証する予定。

“雲海の向こうに広がる大パノラマ;高峰温泉に行ってきたよ。その5” への5件の返信

  1. 思いつきの高峰温泉も行ってみれば幸運の連続で、飽きることのないハッピーツアーでした。当地の澄んだ空気とシーズンオフ気味の静けさ、山小屋ホテルの居心地の良さ、そして夕陽を浮かべる雲海と並んだ露天風呂の気分の良さ、酒と食事の旨さ、宵闇に望遠される月のクレーター、深夜のランプの湯船、さらに朝風呂と・・・これでは体調が良くならない方がおかしいでしょうね。