HP nc2400 をSSD化

HP(Compaq)のnc2400というB5ノートにお世話になっている。2006年からかれこれ4年のつきあいになるが、ここ2年ほどは1.8インチのHDDの遅さに辟易させられることが多かった。HDDのサイズはPCの小型化に直結するので、たしかに本体サイズがB5、液晶サイズが12.1インチでコンボドライブつきで1.3kgという重さを実現するには当時は1.8インチHDDを選択するしかなかったのだろうと思う。発売後すぐのメーカーからの購入ということもあり23万くらいかかった記憶があるので、できれば長く使いたいと思っている。

12.1インチにWXGA+(1280*800)という液晶解像度が気に入っていて、広いとは言わないが僕のデザイン業務にはぎりぎり対応してくれる。CPUはcore soloの超低電力版U1300(1.06GHz)というわりとレアなものだが、Photoshopのフィルタをかける程度の処理ではCPUがネックになったと感じたことはない。それよりもディスクスワップや起動時の読み込みが恐ろしく遅く、そちらの停滞でストレスを感じることが非常に多かった。なんせ、電源断状態から使える状態まで起動するのに5分もかかっていたので…。
当時、というか昨日までのHDDの速度はこんなもの(CrystalDiskMarkによる)
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Sequential Read : 17.462 MB/s
Sequential Write : 17.544 MB/s
Random Read 512KB : 11.305 MB/s
Random Write 512KB : 11.350 MB/s
Random Read 4KB : 0.230 MB/s
Random Write 4KB : 0.605 MB/s
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デスクトップPCの3.5″HDDと較べてみる。
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Sequential Read : 75.753 MB/s
Sequential Write : 74.600 MB/s
Random Read 512KB : 28.770 MB/s
Random Write 512KB : 43.834 MB/s
Random Read 4KB : 0.601 MB/s
Random Write 4KB : 1.467 MB/s
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全体的に恐ろしく遅いのがわかると思う。スタンバイを活用するなどでなんとかこれまではやってきたのだが、4年経って前述のように起動に5分かかるというどうしようもない状態になってきたので、HDDを大容量シリコンメモリで代用するSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)に換装するという方法を本気で考えていた。しかしSSDはどんどん安くなっているとはいえまだ32GBが3万くらいしていたので、2万になったら換装しようと思っていたところ、Mtronの32GBSSDが手元に転がり込んできた。MOBI3000 MSD-PATA3018032ZIFという製品で、1.8インチ、ZIF接続、SLC NAND。リード/ライトともに100MB/sがカタログスペックなので現在のSSDの速度としては中の上かと思う。nc2400のHDDと同じZIFケーブル接続で、換装用としてはかなり有望なものだ。有村からもらったのだが、ヤフオクで2万ちょっとで落札したらしい。(去年夏の発売時は5万くらいしていたらしいんだが…下落のスピードがすごいね)

できるならHDDの構成をそのままSSDにイメージコピーしてしまいたいのだが、60GBから32GBへの転送なので不具合がおきる可能性があり今回は避けた。そこで必要なのはリカバリディスクなのだが、nc2400にはリカバリメディアが付属しない。HP Backup & Recovery というソフトで自分で作成しないといけないのだが、これはWindowsのライセンスの問題で一度しか作成できないらしい。一度も作ってないので問題ない…とタカを括っていたのだが、なぜかリカバリメディアを作成してくれない。HDD内パーティションにリカバリ領域があるので、これをひとつと数えているのかもしれない。hpのヘルプなどを読んでもいまいちはっきりしない。
そのリカバリ領域からWindowsXP Professionalを再インストールしたりもしたのだが、問題は解決しなかった。仕方ないのでhpからリカバリメディアを3000円で取り寄せることにした。

二日してリカバリメディアも届き、いよいよSSDの換装ができるようになったのが昨日。
参考にしたのはドキュメントが充実しているThinkpad X40のSSD化Wiki。ただnc2400のHDDへは背面の蓋のねじを二つ開けるだけで直接アクセスできるので遥かに楽だし、HDDももともとFFCのZIFケーブルなので変換アダプタなども必要ない。非常に楽。
以下写真と簡単な手順。
1.HDDの蓋を開けて、HDDを取り外す。
HDD格納部のフタを開けたところ

HDDを固定しているネジを外す。

2.HDDの裏を見るとFFCがテープで留められている。剥がすと基盤やケーブルを痛めそうだったので、写真の黒い部分と緑色に見える基盤の間を工作用カッターで切断し、ケーブル側をゆっくり慎重に剥がした。
HDDの裏側。FFCがテープで止まっている。

ZIFケーブルを抜く方法がわからずひとしきり悩んだが、なんとか引き抜くことができた。FFC(フレキシブルフラットケーブル)はデリケートらしいのでそっとやったほうがいいようだ。抜くほうは(リリースの方法がわかれば)そんなに力はいらなかったが、SSD側に入れるときには力の入れ加減が難しかった。じわじわと力を込めるようにしてFFCを折ってしまわないようにしながら、説明書のとおりに接続する。

3.この写真はまだテープが貼られているが、次の写真と見比べるとFFCの外し方が分かると思う。
別アングル

4.白い部分に爪をかけて、HDD側を支点に90度引き上げる。するとFFCがすんなり外れる。
FFCをリリースしたところ

5.外れたFFC
外れたFFC

6.このあとの作業はSSDの説明書を参照してください。上述の通り冷や冷やしながらFFCを無理矢理押し込んで、HDDから外したときの逆の要領で挟んで固定。絶縁体で包んだ方がいいとどこかで聞いたので、必要ないんじゃないかと思いつつSSDが包まれていたフィルムを適当な大きさに切って、工作用透明テープで適当に整形しケーブル側だけ開いた袋状にしてSSDを入れる。HDDはnc2400の場合3枚目の写真にあるように黒い柔らかな緩衝素材で衝撃から守られていた。そのためHDD格納エリアの容積はかなり深くできている。この緩衝素材を加工しようかと思ったが面倒かつ難しそうだったので、袋を作った残りのフィルムを適当な大きさに巻いて、HDD固定金具とその反対側に詰めることで緩衝材とした。いたって適当。
SSDをフィルムで包んで戻す

リカバリディスクからXPをインストールして、さっそくベンチ。上記の1.8インチHDD(東芝、60GB)はWindowsXPProをクリーンインストールした後の測定なので、条件はかなり近い。
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Sequential Read : 81.046 MB/s (460% UP)
Sequential Write : 63.101 MB/s (360% UP)
Random Read 512KB : 80.633 MB/s (713% UP)
Random Write 512KB : 28.811 MB/s (254% UP)
Random Read 4KB : 23.720 MB/s (10313% UP)
Random Write 4KB : 1.536 MB/s (254% UP)
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感想
速い速いとは聞いていたが、ここまでの速度アップは期待していなかった。
とくにランダムリードのスピードアップが著しく、これがスタートアップ時の瞠目すべき速度アップに貢献を果たしていると思われる。5分かかっていた(クリーンインストール後も3分くらい)起動が1分前後になり、快適極まりない。
またHDD音が無くなったのと、HDDの発熱が無くなったのでファンがほとんど回らない。
それに対してシャットダウンなどのCPUに依存する動作は体感速度はあまり変わらない。もとから遅い処理ではなかったが。
また理由が判然としないものの、YoutubeなどのHD映像再生時にfpsが低かったのが改善された。30fpsでヌルヌル動く。メモリに格納してから再生しているものだと思うので、SSD化は関係ない可能性が高い。これはクリーンインストール直後であること(メモリに余裕がある)と、ちょっと前にメモリを1GBから2GBに増設(うち500MBはRAMディスクとして利用)したことによるものと推測できる。

SSDの弱点として、「突然死」の可能性がよく取りざたされる。書き込み回数に制限があって、ある日突然死んでしまうというやつだ。
特に空き容量が逼迫している場合、この問題はすぐにやってくる、と脅されることが多い。
が、これに関してはSSD側で均等に領域が使えるよう調整してくれている(ウェアレベリング)ので、あまり心配しなくてもいいようだ。
参考;ITPro[レビュー] SSDの寿命は864年? 診断ソフトを試す
参考;BotchyWorld SSD耐久テスト その1 その2
上記「SSD耐久テスト」ではMLCのSSDで空き容量を考慮せずに(ウェアレベリングに頼って)通常使用しても32GBで17~20年の寿命と、頼もしい試算結果を出してくれている。僕の個人的な印象では安心してHDDを使える期間が3~5年だと思っているので、十分すぎる時間だ。それに今回換装したSLCだとその10倍程度の書き込み寿命が見込めるそうだ。つまり170年は大丈夫。
書き込み寿命ではなく経年劣化についてはどの程度のものなのかまだわからない。しかしSSDの価格はどんどん下がっているので3年後には1万円で500GBくらいのSSDに換装できてもおかしくない。それに今のSSDが寿命を迎える遥か前に、ノートのキーボードやDVDドライブのほうが寿命を迎えるのはほぼ確実に思える。

今回の換装で最も犠牲になった要素は容量だ。今回はSSDごともらってしまったので(そもそも経費なので別に僕が得をしているわけではない)サイズの選定では迷う必要がなかったのだが、32GBというサイズは決して広くない。狭い。PCカードスロットにSDHCやCFカードリーダーを16GB~32GBくらい拡張して、データ部分を回避する努力はあってもいいと思われる。でも一年したら128GBに換装することを考えているので、少し使ってみてから必要性の有無を考えてみたい。

“HP nc2400 をSSD化” への26件の返信

  1. こういうノウハウというかログを残しておくのも重要だよな、と思わされます。

    SSDはこっちが堪能する前に先を越された感じで少々悔しい気もするけど、
    ベンチ結果を見て「勝った」のは救いでしたw(Read98くらい)
    こちとら大枚叩いて2万に負けたら立場がない。(でも代金丸々浮きましたがw)

    それにしても速くて静かで衝撃も気にしなくて良くてと、久々に時代の進歩を感じるね。

  2. このまま使って一年くらいで突然死しなければ、まずまずいい投資ということになるね。その後HD映像のfpsが無事低下したのはよいとして、他には
    ・スタンバイ/サスペンドができない
    ・RAMドライブにTEMPを作っておかないとSkypeがスタートしない
    この辺が気になったところです。

  3. 初めまして。nc2400ユーザーです。
    最近、特にHDDの遅さに嫌気がさしてきたため、10月の三連休でSDDへの換装を考えており、参考にさせていただきます。
    コストパフォーマンスを考えて、MLCのSSDの予定ですが、リカバリーする際の書き込み回数が気になるところです。

  4. 見違えますよ~
    プチフリはたまにありますが、あと3年はいけるんじゃないか?と思わせるほど変わります。HDDの遅いのを除けばわりといいマシンなので長く使ってやりたいです。
    MLCでも最近の有名メーカーのものなら問題ないんじゃないですかねえ。ウェアレベリングもかなり高度になってるみたいですし。

  5. あ、そうだ
    ファンが回らなくなると書いたのは勘違いでした。
    使ってるとCPUの発熱が結構なものになってけっきょくガンガン回ります。

  6. Hana Micron のキャッシュ付き64GBを購入。HDD(MK6008GAH)との入れ替えは問題なくクリア。
    PC購入時に作成したリカバリーディスクで作業を始めたところ、途中でDVDが読めなくなりストップ。再度、行ったところ、DVDが読めず。。。
    で、純正リカバリーDVDを取りよせたところで、作業中断しています。
    これでトラブルの場合はSSDの交換に行きます。。。

  7. hpの自分で作るリカバリメディアはちょっといい加減な印象が拭えません。純正リカバリディスクでなんとかなるといいですね。

  8. 純正リカバリーディスクでOKでした!どうもZIFのコネクタ接続も甘かったようで、今後、いつ接続不良が起きるのか?という不安が残ります。

    が、とにかく速いですね。驚きました。XPのサポート終了まで、このマシンで行きます。

  9. よかったですねー
    HDDよりSSDは薄いとおもうので、SSD周辺に結構余裕があるのではないでしょうか。
    緩衝剤を工夫すればZIFケーブルの脱落も予防できるかもですね。

  10. 緩衝材は、もともとのHDD(MK6008GAH、中央部は8mm、外周部は5mm)の四隅をぐるりと囲っていた青いラバー製ガードをそのまま使いました。
    で、ベンチは以下の通りです。起動1分には感動しました。
    Sequential Read : 82.474 MB/s
    Sequential Write : 67.303 MB/s
    Random Read 512KB : 75.326 MB/s
    Random Write 512KB : 67.194 MB/s
    Random Read 4KB : 18.603 MB/s
    Random Write 4KB : 7.165 MB/s

  11. HDDの緩衝ガードが使えるならそれがいいですね

    ランダムの書き込みが僕のと較べてかなり速いですね
    1年後くらいにSSDの容量アップで入れ替えたらさらに速度アップが期待できそうで楽しみです

  12. 作業中に突然、フリーズし、再起動したところドライブが認識されなくなりました。
    接触不良くさいです。
    対策を考えます。。。

  13. 元のHDDに戻すと全く問題なく動くので、SSDのコネクタが悪いのか、FFCとSSDの相性が悪いのか、ということになると思います。
    これではとても仕事で使えないので、途方にくれています。。。
    まずは、秋葉原でケーブルを探して見ます。

  14. しかし災難ですね
    友人のThinkpadも最初SSD載せ替えで「SSDの認識はするもののパーティションが切れない」などの症状がありました。接触が悪かったらしく、ZIFケーブルを何度か外したり戻したりしていたら治ったそうですが、薄いケーブルですのでSSD側のコネクタも精度が要求されますし、ケーブルとの相性はありそうですね。

  15. 発売元の商社に連絡したところ、結局、交換と相成りました。
    が、SSDにアクセスできないため、一旦リカバリーして戻したデータがそのままの状態で、送り出さざるを得ないわけで、さてどうしたものか。。。

  16. ZIF-IDE変換ケーブルみたいなものを使ってデスクトップやノートからアクセスするっていうのも手ですが、余分なパーツ購入が出てしまいますね。
    うちにも貰ったものの使っていないものがあるので、ご近所だったらお貸ししたいところですが…

  17. 結局、発売元にデータ消去をお願いして、新品交換をお願いしました。
    新たに届いたSSDはロットが違うようで、コネクタのパーツが異なり、カッチリはまった感じです。
    復活しました!