恩方村に行って来た!

八王子市 上恩方GW中 5/3。天気が良かったので、前から行きたいと思っていた八王子市恩方町へ自転車で行ってきました(ルート)。ここは作家きだみのるが暮らしたかつての東京都恩方村で、「気違い部落の青春」の舞台のモデルとなった土地なのです(作品については以前の日記を参照)。

作中に出てくる恩方村は多摩の美しいところをすべて備えた山間の村でした。さほど高くはないが草木が溢れる山があり、尾根からは渓流が山裾を広げていき、関東平野へ連なるのが見えます。広がった山裾の集落からは夕餉の仕度の煙がのぼり・・・といった風情です。そういった60年代の風情がどこまで残っているのかを確かめにいきたいと思っていたのでした。

地図で見るとこのあたり。国立からだと甲州街道なり別のルートで八王子まで行き、甲州街道と陣馬街道の分岐点から陣馬街道に入り、あとは道なりです。シンプルなルートで、登り基調ですがほとんど平坦と行っていいくらいの緩さで、寄り道しなければ1時間半もあれば着いてしまいます。自転車密度はかなり低く、出会ったのは相模湖から和田峠を越えてきたと思しき対向の本気ロードバイクが6~8台くらい、僕と同じく途中で引き返す予定のなんちゃってロードが4~5台といったところでしょうか。甲州街道の迂回さえなんとかなれば、週末のちょっとしたサイクリングにはもってこいの目的地です。

甲州街道をずっと走っていくと、JR中央線西八王子駅の手前あたりで立派な銀杏並木が始まります(写真)。その入り口が追分町交差点で、陣馬街道の起点になります。陣馬街道(交差点を右奥へ右折)に入るとしばらく直進です。「切り通し」という作中にも言及のある角を曲がると、西寺方町に入ります。このあたりは高い建物こそありませんが大手コンビニもあり、新旧の家屋が入り交じった住宅地といった風情です。

陣馬街道をそのまま進むと右手に恩方第一小学校が見えてきます。このあたりから風景はまさに「山あいの村」といった感を増し、山が迫る中北浅川という多摩川の支流の浅川の支流も細くなってきます(写真)。小学校を越えるとすぐに圏央道が上方を交差しています。街道はどんどんくねっていき、山道の風情を増しますが急坂にはなりません。和田峠のほうまで行けば急になるようですが、このあたりはルートを見ても分かるとおりほぼ平坦と言えるほどの緩い上りです。どこまで行こうか迷ったのですが、「夕やけ小やけの里」という市営のレジャー施設(宿泊施設や日帰り風呂もあるらしい)を越えて、陣馬街道が陣馬高原方面へ左に折れる地点を曲がらずに直進し、盆堀線という林道(写真)が見えたあたりで戻ることにしました。冒頭の写真がこのあたりなんですが、ここまで来ると風景はもはや東京とも思えません。嘘です。西多摩で育った身としては大して驚くべき風景でもないです。でも奥多摩よりは車通りも少ないし、人もきちんと住んでいて廃屋が少なく、より清潔な感じがしました。

こんなかんじで初夏の緑をたっぷり楽しんだわけですが、当初の目的であった作中の風景はほとんど残っていないようでした。冒頭の写真のあたりは上恩方という地名ですが、このあたりはもはや里山と言うよりも「山」であって、作中で印象的であった里山の風景があったとすれば恩方第一小学校のあたりではなかっただろうかと思います。しかしちょうどこのあたりに圏央道が通っており、また家並みも更新されてしまっています。川はとてもきれいで緑も多く山も迫っているのですが、内実は住宅地になっているという印象を持ちました。同市内に大学がぼこぼこ移転してきて、駅前があんなに発展すれば無理もないかと思います。

作中の印象ではもう少し山の方から里が見晴らせるのかと思ったのですが、そうでもありませんでした。

尾根のほうから見ればまた違うとは思いますが、圏央道がより邪魔になるかも。本は今N田実家にあるらしいので、返ってきたら実際の土地と符合させてみたいと思います。

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